シチズンフォー

まだ記憶にも新しい2013年6月、元CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)所属のスノーデンという若者が、アメリカ国家による一般市民への違法なプライバシー侵害行為を暴露するという事件が起きた。
3年前の当時、ニュースを見ていて思ったことは、「オバマが、なんだか様子がおかしい・・・」ということだった。オバマのその慌てぶりから推測されたのは、29歳の若者をなんとしてでも捕まえようと、アメリカがすべての包囲網を張り巡らせ、全勢力をあげて動いていることだった。
この映画は、シチズンフォーというコードネームを持つ謎の人物(スノーデン)が、この異端の映画監督に一通のメールを送るところから始まる。
インターネットの普及は、世界に新たな自由と冒険、無限の可能性をもたらしたのだけど、それは同時に、テロリストや犯罪組織にとっての恐ろしい武器にもなってしまった。
9.11以降のアメリカは、その後テロの脅威から国民の身を守るという口実のもと、すべてのアメリカ国民だけでなく、国内外に住む外国人の動向(どこにいて、何を買い、誰と、どんな話をして、どんな思想を持っていて・・・)を手に入れられるようになった。テロリストの可能性のある人物のみならず、全国民のプライバシーを監視しているということが明るみに出たことによって、このスノーデン自身に対する見方も2つに分かれただろう。
1.『国家の機密情報を暴露した危険人物』という見方。
2.『国民のプライバシーや自由を、ひたすら奪い続けている国家の悪を暴き出した勇気ある人物』という見方。
映画は、後者の立場に立って、世界最大のアメリカという国が犯している罪の重さを、見ている者に訴えかけてくる。自らの危険を省みず、国家を敵に回してでも、自分の信じるもののために国家ぐるみの犯罪を告発をしようとするスノーデンと、世界中抜け道の無いような道を、彼とともにひたすら走り続けた勇気あるジャーナリストによる、命をかけた実話の記録なのだ。
まるで、上質なスパイ映画を観ているような、信じられないドキュメンタリー映画。
★シチズンフォー スノーデンの暴露http://gaga.ne.jp/citizenfour/info/?page_id=8
アカデミー賞 長編ドキュメンタリー映画賞

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