いちじく。2

鳥に食べられてしまう前に、ベランダのいちじくを収穫しようと外に出ると、樹高60センチほどのいちじくの木には、8個くらいの実がついていて、物によっては紫色が濃く熟し始めているのがわかった。
小さく濃いいちじくを洗うと2つに裂いて、どんな味だろうかと口に運んでみる。
僕「あ、美味しい。」
K「ほんと?!」
遠巻きで見ていたKがやってきて、半分になったいちじくを口に運んだ。
「ほんとだ。いちじくの味がする」
春の芽だしの時期にちょっと肥料をあげただけで、全くかまうこともなかったいちじくは、5・6センチくらいにしかならない小さな実をたくさんつけて、自分がいちじくであることを僕たちに伝えていた。
収穫をしたいちじくを、白いお皿に載せてテーブルの上に置いてみた。
いくつも穫れた小さないちじくの実は、僕とKがふたりで一緒に過ごすはじめての夏を彩ってくれていた。

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