印鑑。

実は、家庭の事情があり、この年になって、戸籍上の名前が変わった。
23年以上勤めている会社では、いまさら名前を変更するのも無理があるので、今までの名前を使うことにしたのだけど、戸籍の変更届けは会社にはしなければならず、それに伴い、会社からは「銀行に給与が振り込む時にエラーが出て振り込めません…」というメールが来た。
それは、僕が銀行に届けを出していなかったからなのだけど、会社としては、名前の変更とともに、銀行の口座名も新しい名前として自動的に振り込むようなのだ。
はじめは、戸籍上の名前だけ変更すればそれほど問題ないかも…なんて気軽に考えていたものの、
パスポート、免許証、銀行、クレジットカード、区役所…と、変更の届出をしなくてはならないところが次から次へとどんどん出てきて、もはや何から手をつければいいのかわからない状態に。
そして、手続きをしようとすると、新しい名前の印鑑が必要でもあり、慌てて印鑑を作らねば…という事態に。
前の印鑑は、有名な占い師のような人に作ってもらった。実印、銀行印、認印の3点セット。印鑑には良し悪しがあって、それによってその人の人生も変わってくるなんてことも聞いていたからだ。
ても、この僕の半生を振り返ってみると、大金持ちになることもなかったし、大した仕事も出来なかったし、つくづく凡庸な人生だったように思うのだ…。
そこで、今度は、僕の周りで桁違いのお金持ちの友人に聞いて印鑑を作ってみようと思ったのだ。急に印鑑を作らねばならなくなったので、慌ててLINEで聞くと・・・
「僕のは伊勢丹で作ったの。
ベタでしょ。笑」
「伊勢丹か…全然思いつかなかった…」
そう思い、伊勢丹の5階を訪ね、取り急ぎ銀行印を作ることに。
先ずは、印鑑の素材を選び、太さを選び、書体を選び、書体の入り方を縦なのか横なのかを選ぶのだった。
素材とかよくわからないので、またその友人にLINEを打つ。
「やっぱり象牙かな?」
「象牙よ」
象牙にして、13.5センチの太さにして、名前は姓を縦に入れるようにして、書体はパッと読めない書体に…
完成は1週間くらいかかるようなのだけど、その印鑑を持って、これから様々な場所に行き、変更届けを出さなければならない。
それはそうとして、僕がもしいつの日か大金持ちになったとしたら、伊勢丹の象牙の印鑑のおかげなのだと思ってくださいね。

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