RAINBOW REEL TOKYO 2

彼方から

リビング・エンド

ミステリアス・スキン

『彼方から』
ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したという作品。
初老の男性アルマンドは、街でみかけた青年にお金を見せて、家に連れこみ、関係を持つ日々を送っている。関係を持つと言っても、決して青年の身体には手を触れずに、後ろ向きのまま、裸にして、ズボンを下ろさせ、自分はその後ろ向き姿を眺めながら、興奮に浸っている。
そんなある日、貧しく不良のエルダーに出会い、ふたりの関係が少しずつ変わりはじめる。
俳優たちが、恐ろしいほどうまい。そして、映像が人間の目で人を追うように、ひとりの人を見つめると、ほかの人への焦点がぼやけてしまう。計算されたとても不思議な作りの映画だ。
言葉であったり、状況を映像で説明するようなことはいっさいせず、観客は映像を見ながら、物語を想像し、洞察し続けるしかない。
一緒に観た友人が言っていたのだが、ホモフォビアの闇を描いた秀作かもしれない。
『リビングエンド』
1993年に日本のゲイ映画祭で公開され、僕も見に行った映画なのだけど、時間が経ってすっかり忘れていたため、もう一度観ることが出来たとグレッグ・アラキの作品。
HIV陽性を告げられ、死の宣告を受けたようにショックを受けたジョンと、ゲイに対するヘイトクライムに会うルーク。ふたりは偶然に出会い、惹かれ、愛し合い、やがて地獄の果てまでも逃避行を続けてゆく。
HIVに感染することが、死に直結しているように感じられた90年代。あの時代の、胸を焼き尽くすような熱さと空気感に圧倒された。
『ミステリアス・スキン』
同じく、グレッグ・アラキの作品で、今をときめくジョセフ・ゴードン=レヴィットが出演している秀作。
映画祭全体を通じて、この映画には一番ショックを受けてしまった。ゲイ映画というよりも、小児愛をテーマにした、ミステリーというか、サスペンス映画だったのだ。
全編を通じて、鳥肌が立つような恐ろしい描写。改めて、グレッグ・アラキの凄さを思い知った作品。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です