三城

わらびのお浸し

ざるそばのみ

黒花豆

長野県の松本に、素敵な蕎麦屋さんがある。
その名も、『三城』。
この店が他の店と一線を画するということは、お店の中に一歩足を踏み入れたら感じるに違いない。
店を取り仕切る女性は和装で、蕎麦を打ち、接客をこなしている。その有り様は、あたかも武士のようだ。その昔、麹町で22年間も蕎麦屋をやっていらしたらしい。
お店にはメニューらしきものがなく、ざるそばのみ。席に座ると何も言わなくてもほどなく日本酒が美しい片口に入って供される。「まずは一献を」といった心配りだろうか。
このお酒はここのお店でしか飲むことのできない豊穣な味わいだ。
その後、お蕎麦、そしてたっぷりの蕎麦湯と漬物が出され、最後にはほんのりと甘みを感じる黒花豆が続く。
基本的には予約をしないと入れない。人気店のため、席が埋まっていることが多いからだ。
ネットでは武士の接客が悪いなどと書いている人がいるが、武士はきちんとルールを守っているだけだ。勝手に武士の城に入って来て、自分のやり方を押しつけてはいけない。
武士は、とても細やかでやさしい人だ。
きちんとお城のルールに従って、黒花豆を食べる頃には、ここでいただいた豊かな時間を愛おしく思えるに違いない。
★三城
0263-35-0234
長野県松本市大手3-3-5
http://tabelog.com/nagano/A2002/A200201/20000629/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です