孤独のススメ

「地味だけど、いい映画だったよ」
いつものように二丁目のBridgeのMが僕に言うので、行こうとしつつずっと混んでいて行けずにいたところ、やっと観に行くことが出来た映画『孤独のススメ』は、タイトルからは想像も出来ない物凄い作品だった。
オランダの美しい田舎町。敬虔なキリスト教徒のフレッドは、奥さんを事故で失ってから、独りでひっそりと暮らしている。日曜日には決まった時間に礼拝に行き、決まった時刻に同じものを食べ、今は亡き家族の写真を見ながら祈りを捧げる日々。
ひょんなことから、言葉もろくに話せない男テオと知り合い、フレッドの中で何かが変わりはじめる…。
この映画は、『喪失』と『赦し』を描いた映画だ。映画に登場する人々は、ひとりひとりが人生の中で傷つき、大切なものを失っている。
見事な脚本は、この奇妙なふたりがこの先どこへ行くのか、全く予測することすらさせない。天才的なキャスティングと秀逸なカメラワークは、この映画の不思議な世界観と余韻を与えている。
『こうあるべき』という規律を第一に生きてきたフレッドは、言葉も話せない、ナイフとフォークの使い方さえわからないテオに出会い、壊れはじめる。
シュールで奇妙な初老の男ふたりを見ているうちに、最後には胸が熱くなり、涙が頬をつたい落ちた。
今年、必ず見て欲しい真珠のような映画。
★孤独のススメhttp://kodokunosusume.com/info/?page_id=8

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