お兄ちゃんは、ゲイかもしれない。

会社の後、髪を切りに行った。
すると、いつも髪を切ってくれるMちゃんが、髪を切りながら僕にそっと話しかけてきた。
M「うちのお兄ちゃん、カラダばっかり鍛えていてもしかしたらゲイかもしれないって、ただしさんに話しましたよね?」
僕「うん、聞いた。その後どう?」
M「それが、こないだ私が軽い気持ちで、今つきあってる彼氏を家に連れて行ったんです。結婚とかそういうのではなくて、家族に会わせたいなあと思っただけなんですけど…」
僕「それで?」
M「うちには、家族4人でやってるLINEがあるんですけど、そこにお父さんがはじめに書いたんです。
A(お兄さん)や、Mが彼氏を家に連れて来たよ。Aはいつ、彼氏を家に連れて来るのかな?
って…彼氏って書いたんですよ。お父さんが…」
僕「え?お父さん、なんでいきなりそんな思い切ったこと…」
M「そうなんですよ…家族ではなんとなく話して吐いたんですけど、お父さんが口火切るとは思わなくて…」
僕「それで?それで?どうなったの?」
M「すかさずお母さんが機転利かせて、あら父さん、彼氏じゃなくて彼女じゃないの?って書いたんです…」
僕「え?お母さん!」
M「私もそこへ、お兄ちゃんの恋人が、彼女だろうが彼氏だろうが、私はどちらでもうれしいって書いたんです…」
僕「え?えええ⁈
そんでお兄さんは?」
M「それが、その後、見ているくせに、何も書き込みがなかったんです。
しばらくしてから、どこか旅行先の写真だけが送られて来たんです」
僕「そうか…
お兄さんとしては、急に家族にカミングアウトしても大丈夫だよ!と言われたところで、自分の方からカミングアウトする準備も出来てなかったのかもしれないよね…」
M「お父さんも、凄い気を利かせたつもりなんだと思うんです。でも、今はまだその時期ではなかったのかもしれませんね…」
僕「うん。そもそもLINEで家族みんなに自分のセクシュアリティを言うこと自体、僕ならちょっと出来ないかも…」
LGBtという言葉がもはや流行語のようになって、セクシュアルマイノリティは13人に1人いると言われ続けている。そしてそれは、こんな風に実はとても身近にいるものなのだと思うのだ。
そんな人たちが、躊躇せずに周りに話すことができて、自然に受け入れられる世の中になったらいいのになあと改めて思わされた。
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