Sの勇気。(OUT IN JAPAN #007,008 東京撮影会)

セクシュアルマイノリティの可視化を目的に、1年間に1000人を撮影することを目標に掲げたプロジェクト『OUT IN JAPAN』の最後の撮影会が、東京で2日間かけて行われた。
1年前の撮影会では、この『カミングアウト・プロジェクト』に、セクシュアルマイノリティが本当に応募してくれるのかさえわからなかったのに、この国で、1000人を越える人たちが賛同してくれるなんて・・・。
Sは、僕の妹のような存在でスタッフの中心人物。企画が始まった当時は名前も男性で見かけも男性だったのだけど、実はM t Fで、ずっと長い間生きづらさを感じながら社会で生きていたようだ。
そんなSは、このプロジェクトが始まった当初、僕たちが撮影に出ても、「自分はまだ心の準備が整わないので出られません」と言って、撮影される側には決して回ろうとしなかった。
やがて撮影会を重ねるうちに、Sは家族に自分のセクシュアリティを打ち明けて、女性とも取れる名前に変えて、会社の中でもカミングアウトをして性別の変更を許可してもらい、Sの見かけも少しずつ女性らしく変わっていった。
そんなSは、最後の撮影会で、1000人目という記念すべき被写体になることを決心した。
Sの撮影が始まると、スタジオ中の人が集まり、すっかり女性らしく、美しくなった姿に声援をあげた。Sは緊張のあまり、口がこわばり顔が引きつっていたけど、みんなの声と笑いに少しずつほどけて輝くような笑顔に変わっていった。
やがてスタジオが興奮に包まれて撮影が終わると、みんなからの盛大な拍手と感謝の声がかけられた。
Sは、顔をぐしゃぐしゃにゆがめて、立ったまま泣き出した。
そんなSを見ながら、すべてを知っている僕たちも、目から涙が落ちたのだった。
このプロジェクトに関わったすべての人に、感謝します。
1000人達成、本当にありがとうございました。
カテゴリーLGBT

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