ふたりで暮らすこと。

Kが大分から東京の僕の家にやって来て、一週間が過ぎた。
はじめての同棲に最初は戸惑いがあった僕も、この一週間で、「同棲とは、こういうものだったのか…」と改めて新鮮な気持ちでいる。
朝、目覚めると、隣に大型犬のように熟睡状態でKが横たわっている。
僕はKを起こさないようにベッドから抜け出して、朝ごはんの支度をする。お米を精米して土鍋で炊き、魚を焼いたり、水菜の煮浸しを作る。
そして、ご飯を作りながら洗濯機を回す。
そうこうしているうちに、Kが起きてきて、皿を出したり、箸を置いたり、大根おろしを擦ったり、味噌を出したり、洗濯物を干したり手伝ってくれる。
朝ごはんを食べて、僕が出かける頃、Kは玄関で見送ってくれる。「いってらっしゃい!」
会社にいる時は、LINEでやり取りをして、早めに帰れる時は、帰りに伊勢丹で待ち合わせて晩御飯の食材を買って一緒に帰る。
ワインを飲みながら、晩御飯を作り、一緒にゆっくりとご飯を食べる。
「ぶどうの新芽が見えてきたよ」とか、「洗濯物が乾いてよかったね」など、今日あったたわいもない話をしながら…。
夜眠る時は、Kは手を繋いでくるか、足を僕の上に乗せてくる。それはまるで、自分の親に絡みつく子どものようだ。
僕が朝方、トイレに目覚めると、リビングに行く手前の棚の上に、水が入ったコップが置いてある。
夜中にトイレに行く僕が、リビングに行かなくても水が飲めるように、Kがこっそり置いておいてくれた水だ。
ふたりで暮らすとは、そんなこと。

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