叔母の誕生日。

毎年、叔母の誕生日にお花や球根を送っている。いつも誕生日の日には、叔母からお礼の電話が入るのだ。
今年で76歳になった叔母は、子どもがいなく、美容の世界で仕事一筋に生きて来た人だ。叔父を10年くらい前に癌で亡くし、祖母を10年くらい介護をして看取った。
叔父と祖母の介護を続けてしていた時に、介護のヘルパーの資格を取った。
祖母を亡くした時は、ちょっとバランスを崩し、オレオレ詐欺にも引っかかり何百万かのお金を手渡しで渡したこともある。
その後、お花の世話なんかをしながらのんびりと暮らしていたのだけど、もともと仕事一筋に生きて来たこともあり、どうにも時間を持て余してしまっていたようで、間も無く視力に問題がある人のボランティアをはじめた。
弱視や目の見えない人に付き添って外出したり、旅行をしたりするのだ。叔母と時々話す電話の声はとても元気で、ボランティアの話ばかり楽しそうにしていた。
それが今年はどうやら、またしても付き添いの資格を取ったようで、ボランティアだけではなく、付き添うことで仕事として働いているというのだ。
叔母「ただしちゃん。叔母さん、この年になって、また働いてるのよ。給料だってもらってるんだから…」
お金には全く困っていない叔母だけど、仕事をしてきちんと認められて、お金をもらえること自体がとてもうれしいようだ。
目に障害のある人は、付き添いのボランティアを希望される人もいるし、ボランティアではなく、きちんとお金を払ってお願いする方を好む人もいるそうだ。
叔母は電話の向こうで、その仕事やボランティアがいかに忙しいか、そして、大変なこともあるけど、言葉で言えない充足感があるということを少し興奮気味に話していた。
そんな叔母の話を聞きながら、自分が76歳になった時に、こんな風に楽しそうに生きていられるだろうかと思ったのだ。
だって、ほとんど30年後ですよ…。自分の身体や頭がしっかりしてるのかもわからないではないですか…。

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