Kのカミングアウト。その3

Kは、兄姉、そして、ご両親へカミングアウトをした後、お正月を実家で迎えた。
数日間ご両親と一緒に過ごすことで、ご両親はKのカミングアウトのことをいったいどんな風に受け止めているのか心配で、僕も気が気ではなかった。
正月が終わり、金曜日の夜に東京に来たKに、ご両親の反応を聞いてみた。
僕「それで、お父さんお母さん、何か言ってた?」
K「それが、怖いくらい何もそのことには触れないの…」
僕「え? 僕のことも何も言ってない?」
K「うん。まるで何事もなかったかのようなんだ…
でも、お父さんが、Kのことを話すと落ち込むからもう話さない…ってお兄ちゃんに言ってたんだって…」
僕「そうなんだ…そりゃあ、なかなか簡単には受け入れられないだろうし、理解出来ないかもしれないよね…」
大分の中でもかなり田舎の町に住むKのご両親に、息子がゲイだということを理解してもらうには、まだまだ時間がかかるのかもしれない。恐らく、ゲイなんて異常な者だとか、そんな人間、自分の周りにいるわけなどないと思っているだろうから。
Kはそんなことおかまいなしに、仕事場の周りの人にもカミングアウトをしはじめた…。
K「今日、上司に言ったんだ…東京に行くから病院をやめるって」
僕「それはいつか言わないといけないと思うけど、ゲイであることも言ったの?」
K「うん。言ったよ」
僕「あのさ、誰彼構わずに、自分のセクシュアリティのこと言わなくても大丈夫だよ。
第一みんな、驚くでしょ?」
K「うん。びっくりしてたけど、その人にはきちんと話しておきたかったの…」
僕がつきあいはじめた頃のKでは考えられないほど、数年のうちにずいぶん変わってしまったようだ。
カミングアウトに関しては、あっと言う間に、僕が追い越されてしまったような感じさえしている…。
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