金沢のHさん。

金沢に来る一つの理由は、偶然お寿司屋さんで隣り合わせたノンケのHさん(僕と同じ年)と、美味しいものを食べながら、お互いの近況を話すこと。
Hさんは、日本酒協会の人で、日本酒にとても詳しい。
いつもHさんは、あらかじめお店にHさんセレクトの日本酒を持ち込んでいて、我々は食事に合わせてその日本酒をいただくことになる。
今回、『白菊の大吟醸』と『黒龍の石田屋』、そして、『平成八年の菊姫の大吟醸』をいただいた。
スッキリとした白菊ではじまり、香箱がにや海老のじんじょうをいただき、石田屋でお造りや鰤のぶっかけをいただき、菊姫で鱈の白子の茶碗蒸しや炊き合わせをいただいた。
Hさんは、日本酒の知識をひけらかすことなく、お料理に合わせた絶妙なチョイスで、いつも日本酒の奥深さを教えてくれる。
食事が終わると、Hさんはまだまだ一緒に飲みに行きたいと言うのだけど、僕ものんびりとひとりになりたいと思い、お別れした。
「今日はありがとうございました。また、来年、金沢で会いましょう」
一時期、Hさんはもしかしたらゲイなのではないかと思ったこともある。だって、ノンケがわざわざ男の人と食事をするだけのために大枚をはたくだろうか?
本当のところは僕にも未だにわからないのだけど、Hさんは僕とのんびりと食事をしながら、穏やかに笑っている。
わざわざ高価な日本酒を何本も用意して、僕と食事をして、Hさんにとって何かよいことがあるのかはわからないのだけど、こんな不思議な関係が、もうかれこれ、7年くらい続いている。
人生には、不思議なことがあるものだ。

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