親子旅行。

Kが、お父さんとお母さんと一緒に東京へ旅行に来た。
Kは毎年ご両親と一緒にどこかに旅行に行っているのだけど、昨年に引き続き今年も、なぜだか東京に来ることにしたようだ。2泊するうちの中日は日光に行ったらしい。
それに伴い、旅行を決める間、ホテルはどこにするか、どこに東京観光に行くか、ごはんはどこが美味しいか、Kは何度も何度も僕に聞いてきた。
昨年泊まった帝国ホテルは、Kのご両親は敷居が高く感じられてしまい、緊張してしまったので、もっと庶民的なホテルにしたいと言って来た。
レストランも高いところではなく、安くて東京らしくて美味しいところ…なかなか難問が重なった。
それに加えて、Kはまったくの方向音痴なのだ。いつもは僕の後にくっついてぼんやりしていれば目的地に着くのだけど、お父さんお母さんを引き連れて東京案内するほど、東京の地理が全くわかっていないことに気づき、慌てはじめた。
そこで僕が、Googleマップで新宿の地図と歩き方、ホテルから築地までの行き方、銀座の歩き方などの地図をわかりやすく作ってホテルに届けておいた。Kが道に迷わないように。
ところが、新橋の地下でさえ、どこかいつもと違った場所に出てしまうとどこにいるのかわからなくなってしまうようで、初日は浅草線の出口からホテルに帰るまでに相当苦労したようだ。
そして土曜日、またKから連絡が入った。カレッタ汐留の地下の鼎泰豊で食事をしているのだけど、ホテルまでどうやって帰ったらいいのかわからないと…
僕が逐一説明するけど、何度も何度も聞き返してくる。地下が広くてわからない…
結局、指示した通りに地下を通り、銀座に向かいホテルに帰ることが出来たのだけど、地方で暮らす人にとってみたら、東京は巨大過ぎて、新宿の地下なんかは全くもって迷宮にしか思えないようだ。
それにしても、物凄い方向音痴なのに、ご両親と一緒に毎年旅行しているKを、なんだかかわいいと思える。旅行の間中、お父さんとお母さんがケンカしはじめた…などとLINEを送ってきたりしてハラハラしたけど、ご両親思いのやさしい子だ。
本当は、お父さんお母さんに僕が恋人ですと挨拶をして、ゆっくり一緒に東京を案内して回りたいと言ったのだけど、すかさずKは僕に、
「そんなことしたら、ふたりとも泡ふいて失神しちゃう…」
と言って、とりあってくれなかった。
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