やさしいことば。

映画『アリスのままで』は、若年性アルツハイマーを扱った素晴らしい映画だった。
アルツハイマーは、誰か遠くの人のかかる難病だとは思えなくて、時々人の名前が出てこなかったり、昔の出来事をすっかり忘れてしまっている僕にとっては、いつか自分がなるかもしれないというちょっとした不安さえ感じさせる病気だ。
年を重ねてゆくとき、そして明らかに身体の機能が老いてゆくとき、どのように生きてゆくか、身近に誰かがいてくれるかどうかというのは、僕たちゲイにとっての大きな課題でもある。
そんなある日、冗談半分で、Kに聞いてみた。
僕「僕がアリスみたいになったら、どうする?」
ちょっと間があったのち、Kから返信が来た。
K「Kちゃんの赤ちゃんになる」「ただしくん」
それは、笑ってしまうくらい子どもみたいな返事だったのだけど、ほんわりと温かい気持ちになった。
本当の老後は、そんなに簡単には行かないのかもしれない。僕とKがいつまで一緒にいられるかもわからない。でも、こんな風に誰かがそばで言ってくれたら、気持ちもふっと軽くなるものだ。
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