ふたりの生きた証。

Keiさんは49歳。13年間一緒に暮らしていた52歳のパートナーAさんを、昨年、くも膜下出血で亡くした。
ふたりでリビングでテレビを観た後、Keiさんが先に休んだのだけど、朝起きたら椅子に座って上を向いたまま、Aさんは亡くなっていたのだった。
当時、あまりにも突然の出来事で、僕も驚いたし、Keiさんにいったい何を話しかけたらいいのかわからなかったのだけど、あれから一年が過ぎてやっとランチをすることができた。
お互いの家族にはカミングアウトは済ませてあったものの、Aさんが亡くなった時に、これはもう隠せないと思い、仕事場にもカミングアウトをしたそうだ。
「13年間連れ添ったパートナーが亡くなりました…」
会社の人たちは葬儀にも来てくれて、その後も仕事場においても支えてくれたようだ。もしもカミングアウト出来なかったら、すべてを隠して日常生活を続けることを思うと、地獄のような毎日だったに違いない。
時間が経ったのと、僕自身かつての最愛の恋人を亡くしたこともあり、自分の話をしながら、Keiさんに聞いてみた。
僕「Keiさんは、Aさんが亡くなってから、どんな風に過ごして来られたんですか?」
Kei「友達が支えてくれたんだよね…。葬儀の時も、僕を心配して誰かしらが家に泊まってくれて…」
Kei「娘のように可愛がっている若い子がいるんだけど、彼らが本当にちょくちょく家に来てくれて、お酒は飲んだらダメだからとか世話焼きで…」
Aさんとの共通の友人たちと一緒に沖縄や韓国に旅行に行ったり、今年もAさんの前彼たちと一緒に沖縄旅行に行くようだ。
Kei「今でも考えてしまうのは…Aとつきあいだして、Aを大阪から東京に連れてきてしまったことが、本当にAにとってよかったことなのかな?って。Aは、幸せだったのだろうかと…」
突然の別れは、遺された者にさまざまな疑問を投げかけてくるものだ。答えのない問いが次々と浮かび、何度も繰り返されることもある。
「本当に彼は幸せだったのだろうか…」
僕には、Aさんの気持ちはわからないけれども、本当に仲良く暮らしていたふたりを見ているから、Aさんも幸せだったのではないかと思う。
Aさんは、Keiさんに、「Keiの親が年をとったら、俺が面倒見るから…」と言っていたそうだ。そんな話をしながら、Keiさんは、懐かしそうにAさんを思い出していた。
Aさんとふたりで過ごした日々は、Keiさんの中でいつまでも心に残り、輝き続けるだろう。
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