追憶と、踊りながら

ゲイの映画が新宿武蔵野館でやっていると聞いていて、やっと観に行けた。
イギリス映画でありながら、映画のテーマは、アジアと西欧の違い。親子の愛情と恋人の愛情。そして、カミングアウトの難しさだ。
イギリスの老人ホームで暮らすカンボジア系中国人のジュンは、カイという息子を亡くし、英語も話せない中孤独に暮らしている。
そこへ、カイの恋人であるリチャードがジュンに会いに来る…。
アジアでは、親は自分の命のように子どもを育て、年老いてからは親が子どもに頼る濃密な関係であるのに対して、西欧では、子どもは生まれた時から全く別の生命として尊重され、その後の人生においても個人主義が基本に育てられる。
それ故に、アジアにおけるカミングアウトは、西欧におけるカミングアウトとは置かれている状況が少し違っていて、よりカミングアウトの難しさを秘めているものだ。
本当のところ、この映画において、ゲイであるという設定はなかったとしても、十分成り立つ脚本だと思う。でも、更にゲイのカミングアウトという難題が加わることで、それぞれの人物がキラキラと輝いている。
見事な脚本と演出、そして、カメラワークだと言えよう。芝居になってもいいような話だった。
★追憶と、踊りながらhttp://www.moviola.jp/tsuioku/

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