「なんで僕が、こんなところに?」

僕のことをご存知の方なら、もうどこかで目にしたかもしれない。31日の渋谷区議会の決議の日の報道が、想像を遥かに超えるニュースになっていて、様々なメディアに僕の顔写真が出回っていたようだ。
“いたようだ”と言うのも、「出てたわね!」「おめでとう!フジテレビで見たよ!」「いきなりただしくんが映っていて驚いた」等、周りの友人たちが親切にLINEやメールを送って来てくれたから。
でも、一番驚いているのは僕かもしれない。決議が決まってみんなと区役所を出た時に、坂道を降りた遠くに夥しい数の報道陣が待ち構えているのを見ながら思ったのだ。
「なんで僕が、こんなところにいるんだろう・・・?」
でも、ふと冷静になって、このバナーは友人のビアンカップルに。こちらのバナーは、僕の弟と妹に持たせて・・・急に仕事モードになって、どうやったらより印象的にメディアに写るだろうか・・・と考えていた。(大我さんと一緒に歩いたら、僕たちがカップルと思われたら困るから、大我さんは向こう端を、僕はこちら端を・・・・・・笑)
その日はみんなと祝杯をあげて、朝までなぜだか興奮して眠れず、朝になって会社に行く時に急に思ったのだ。
 
『あ!ニュースを見た会社の同僚、上司、後輩から、何か言われるかもしれない・・・クライアントが変な目で見るかもしれない・・・』(今頃気づくなよ・・・)
早朝から少し緊張して会社に行ったら、仲良しの年上のゲイの大姐さんのFからランチを誘われた。
「見たよ。よかったね。本当にいいことをしたね」と、二人で様々な経緯や傍聴会の話をした。
そして驚いたことに・・・結局、他には誰からも何も尋ねられることも、話をされることもなかったのだ・・・うちの会社の人が、ほとんどメディアを見ていないということも考えられるけど…(もしもそうだとしたら相当笑えるのですが)
多くの人にとって、僕のセクシュアリティがどうであろうとも、そんなにその人の人生に関係がないのではないか・・・と思ったのだ。
もしかしたら、これからじわりじわりと日常の中で聞いてくる、あるいは、僕のいないところでよからぬ噂になることがあるのかもしれない・・・でも…
人生は一度きり。
昔の恋人を喪ったけれども、彼を愛して愛されていた確かな記憶がある。
そして今はKがいて、ささやかな毎日を生きている。
愛する仲間たちに囲まれている。
自分の信じるままに生きよう。
そんなことを自分に言い聞かせながら、なんとか自分を勇気づけている。

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