冬の寒い夜に。

冬の寒い夜に、久しぶりに二丁目の店を覗く。
その店に入ると、角のカウンターに案内された。
90度左隣には、引き締まった身体の短髪30代が座っていて僕と目が合った。
席に座ると、短髪の脚が僕の脚のすぐ先に感じられて、彼の体温が遠赤外線のように伝わって来た。
「あたたかいですね…」と僕が言うと、
「体温が高いんです。ボク」と短髪は少し照れたようにこたえた。
僕の酒が運ばれてくると、短髪は僕と乾杯をした。その自然なしぐさからは、あたかも僕たちが昔から知っている友人同士のような親密さが感じられた。
笑った目が澄んでいる。話をしていると、年が僕より10才くらい下だということがわかった。
ふと短髪がトイレに立とうとした時に、温かい手が僕の左股を掴んだ。
誰もが誰かを探している。一夜限りの人であれ、生涯をかける人であれ。
人間とは、なんて愛おしいのだろうか。
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