ジミー、野を駆ける伝説

イギリスの名匠ケン・ローチによる最後の作品か?とも言われている『ジミー、野を駆ける伝説』は、とても地味だけど、ケン・ローチらしい映画だった。
ケン・ローチは、僕の知っている限り一貫してLabour(労働者)を描いている。労働者に寄り添い、労働者の生きざま、その誠実さや実直さに焦点を当てている。
今回の作品は、パルムドールを受賞した『麦の穂をゆらす風』や、『エリックを探して』『天使の一滴』などと比べると映画としてはちょっと緩いかもしれない。隣で観ていたKには、少し退屈に感じられたようだ。
映画は、アイルランドが舞台となっている。イングランドとの間で争いが絶えず、常にイングランドに翻弄されて来た歴史の中で、ジミーは貧しい人々の生活のために立ち上がり、力を合わせて教育、音楽、ダンスなどを労働者たちが楽しむことの出来るホールを建設する。
ジミーのまっすぐな生き方は人々の共感と尊敬を集め、やがてカソリックや権力者たちにとっても厄介な存在になってゆく…。
アイルランドの美しい自然の中で、すべてのシーンがまるで絵画のような美しさをたたえている。
78歳のケン・ローチは、人間の誠実さや実直さに光を当て、自分の利益ではなく人のために生きようとする姿を追い続けていた。
★ジミー、野を駆ける伝説http://www.jimmy-densetsu.jp/index.php

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