F先輩。

ロビin 会議室

Fさんは、僕が入社した時からそばにいたゲイの先輩。僕の一回り以上うえくらいだろうか。
髪は金髪で時々カラーコンタクト、ベンチプレスで140キロ上げたこともあるという身体自慢で、ドルガバやDsquared2のピチピチのシャツを着て、前ボタンを開けて胸の谷間を強調しているような…。そんな風貌ゆえに、会社では知らない人がいないくらい有名で、おまけにその派手なありようからゲイだということを誰もが疑わない存在だった。
Fさんは、僕がゲイだということもすぐにわかり(こんなに普通っぽいのになんででしょうね…?)、昔はよくふたりでランチに行ってFさんの恋話を聞いたものだ。Fさんは世話焼きのおばさん体質なので、たとえば僕が会社を休んだりしたら、すかさず家に電話がかかってくる。みんなが席にて聞き耳を立てているのだろうに大きな声で、
「どうしたの?熱はないの?すぐに医者に行った方がいいよ!」
そんなやりとりを聞いていた他の社員たちは、勝手に僕だけがFさんのご寵愛を受けていて不思議に思っていたに違いない。
会社内で何度か移動があり、Fさんと離れた後はなかなか食事に行く機会が減ってしまったのだけど、今日、僕がプロダクションに出かけようとする夕方に、突然Fさんが僕の局に入って来て僕を呼ぶので、何か話でもあるのかと思ってふたりで会議室に行った。
するとFさんは、袋の中から『ロビ』というロボットを出して、僕に見せたいから持って来たと言う。机の上でスイッチをつけると、ロビは動き出し、自己紹介をして、僕たちの話に受け応えしてくれた。その愛らしい動きもさることながら、ロビを見つめるFさんの顔が面白くて笑ってしまった。
ロビとは、毎月部品が届いて自分で組み立ててゆくロボットで、何十回にも渡りロビの部品が届き、それを会社で毎回組み立てて、やっと完成したのだということ。総額15万円くらい!!!もうすぐ60歳になるかもしれないFさんは、会議室でロビをいじって楽しそうに微笑んでいる。
こんなうちの会社って大丈夫だろうか…とも思うけど、訳知り社員曰く、
「つまり、『うちの会社の豊かさの象徴』ってところですかね…」
そして続けて、「ただしさんも似たり寄ったりですけどね…」と言うのだった…
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