年を重ねてゆくこと。

年末なので、しばらく顔を出せていなかったタックス・ノットとぺんぺん草に顔を出すべく二丁目へ。
金曜のタックス・ノットには、年の瀬のせいか昔からのお客さんが集まって来ていた。ほとんどが僕よりも年上の人たちばかりで、元気そうに見えている人たちもそれぞれ不安や悩みを抱えていることがわかった。
隣のEさんは58歳の誕生日を迎えたところで、長くつきあっている68歳のパートナーAさんがいる。
Eさんは、いつまでも好奇心旺盛でふたりで旅行なんかに行けたらいいと思っているのだけど、最近はAさんが年齢のせいかあまり外へ出かけたがらなくなってしまったようだ。
その隣には、久しぶりにパリから帰国した日本人とフランス人のカップルが座っていた。前回2〜3年前にタックス・ノットで会った時は、ふたりとも順風満帆で仲睦まじい感じだったのだけど、今回はふたりともやつれているようで様子が違っていた。
話を聞くと、今年の5月に、フランス人の彼に癌が見つかったそうだ。今は全身に癌が回って来ているようで、世界各地に赴き様々なことを試していると言う。
日本人の彼自身も50を過ぎて更年期障害にかかり、鬱と戦っているようだった。日本で生まれ育った彼にとって、大人になってから知り合った恋人の国フランスに移住することは、きっと並大抵の困難ではなかったのだろう。パリでの暮らしも、泥棒や暴力事件などの多さに辟易していると言っていた。
僕自身、40代前半は恋人を探すことでエネルギーを燃やし続けて来た気がするけど、Kとつきあいはじめて45歳を越えた辺りから自分の内面が少しずつ変わって来ているのを感じている。
昔のように毎晩飲み歩くことは少なくなって来たのと、大勢の人が集まるパーティーのようなものに行くとその場は楽しいのだけど、帰る頃には疲労感を感じるようになって来た。
友人たちとのつきあいも、とにかく沢山広く浅くというよりも、数人の信頼出来る人がいてくれたら十分幸せを感じられるように思えるのだ。
年を重ねてゆくことは、次々と大変なことが目の前に起こりそれに対処してゆくという側面もある。
自分の身体や心の状態もあるし、病気を患ったり、親を喪ったり、親しい人を喪うことも経験してゆくからだ。
僕自身の周りを見回して見ると、40歳を過ぎる辺りから更年期障害になる人が多くいるように思う。年齢とともに男性ホルモンが減り、精神的にバランスを崩すことが原因のようだ。
恋人もいなく独りを貫いているゲイやセクシャルマイノリティは、孤独な状況に置かれている場合が多く、条件的にも更年期障害になりやすいのだろう。
周りの友人たちを見回して、時々気にかけちょくちょくお節介をやいてゆくことも、幸せに年を重ねてゆくには大切なことなのかもしれない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です