おとなの恋には嘘がある

若い頃には、いつか運命の人が現れて、その人とずっと幸せに暮らすことを夢見ていた。
やがて僕にも恋人ができて、『ずっと一緒にいよう』と約束をしたのに、10年間で別れることになった。少し時間はかかったのだけど、そんな僕でも、もう一度恋愛をはじめてみて考えもかなり変わったように思う。
生まれも育ちも違うふたりがつきあってゆくということは、お互いの好きな点ばかりでなく、自分とは違う点を見つけることの連続だし、それを受け入れ、自分も変わってゆくような毎日ではないだろうか。
『白馬の王子様は、いつか目の前に突然現れるのではなくて、実は目の前の人が、いつの日か白馬の王子様だったと気づくことが出来るか』なのだと、今の僕は思っている。
そして、周りの友人たちには、ためらわずにまず、人とつきあうということをはじめてみることを勧めている。
前置きはともかく、映画『おとなの恋には嘘がある』は、とてもよくできたおとなのための恋愛映画だ。
離婚を経験して、大学生になる娘を持つふたりの男女がパーティーで出逢い、惹かれ合い、一歩を踏み出せるかどうかという話。
若い頃のように情熱に任せて生きることも出来ず、人と真剣につきあうことによって傷つくことや、失敗することを恐れるおとなの心理を、とても上手に表現した映画だった。
自分とは違うその人の習慣や行動を、受け入れられずに嫌だと思うか、それとも違いを受け入れてやっていくことが出来るか。
いわゆる美男美女の恋愛映画ではまったくない、味わいのある役者による、おとなの恋愛物語を堪能出来るに違いない。
★おとなの恋には嘘がある(シネマカリテにて)

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