新しいお店をはじめます。

アサリの香草蒸し

仲のいい三姉妹と、仲間たちで、神宮前でLGBTレストランをやることになった。
ロゴは今、作っているところで、まずは第一回目の試食会があった。
この店のシェフになるHは、和食とイタリアンで修行を積んだFTMの子で、背丈も175センチあることから、ずっと男として社会で働いて来た。保険証なども叔父さんの保険証を借りて、コピーして貼り付けたり、店でも男で通すために涙ぐましい努力をして来たのだ。
今回、コース仕立てでいくつかの料理を作ってくれて、それに対して、みんなが思ったことを言う感じに。みんな、色々と食べ歩いているからかなり辛口で、明らかにHがへこんだのがわかったけど、人からお金をもらうということは、家で友人に出す料理とは違うのだ。なんとかオープンまでにいい感じに持っていけたらと思う。
一口にタイ料理と言っても、それぞれタイ料理でイメージするものは違っていて、Hもなんとかタイ料理の枠にはめようと苦戦した後がうかがえた。
僕は、あまりタイ料理縛りにならずに、Hの得意なイタリアンや和食を生かした料理を作ったらいいのではないかと提案した。普通のタイ料理の店など、チェーン店でたくさんあるのだから…。
みんなでわいわいと物件を見に行って、これをどう改築するかなど話を聞いて、なんだかみんなワクワクしているのが伝わってくる。
それはまるで、学生の頃に、文化祭の出し物をみんなで作った時のワクワクする感じに似ている。
この店を一つの場所として、LGBTが働いたり集うことの出来る店が、もっともっと増えて行ったらいいなあと、子どものように夢を見ているところ。

春には、クラムチャウダー。

昔、上司とパリにロケに行った時のこと、その日の撮影が終わって、日本人スタッフだけで晩御飯に行こう!という話になり、上司に何がたべたいか尋ねた。すると、上司は暫く考えた挙句、
「…グラタン」と言った。
僕は、「いわゆるグラタンは日本の料理で、フランスでグラタンと言っても、グラタン・ド・フィノアのような、牛肉の皿についてくるような付け合わせになってしまいます」と答えた。
上司「じゃあ…クラムチャウダー…」
僕「え?クラムチャウダー?
クラムチャウダーは、多分、アメリカのニューイングランドの料理です…」
そう答えて、その後はうむを言わせずビストロに連れて行ったことがある。上司は和食が大好きで、フランス料理など馴染みがなかったのだ。
寒い日と暖かい日を繰り返しながら春になって来た。アサリもハマグリも美味しくなる季節に、簡単なクラムチャウダーはいかがだろうか?
★クラムチャウダー
〈材料〉
アサリかハマグリ300〜400グラム
ベーコン4枚
ジャガイモ1個
ニンジン半分
玉ねぎ半分
セロリ10センチ
イタリアンパセリ少々
バター大さじ2
薄力粉大さじ2
牛乳300ml
お湯300ml
白ワイン50ml
塩胡椒
〈作り方〉
1.ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、セロリを7ミリ角くらいの食べやすい大きさに切る。ベーコンも7ミリくらいに切る。ジャガイモは水にさらしておく。
2.鍋を温め、バターを入れてベーコンを炒める。そこに野菜を入れる。全体に混ぜながらバターで炒めたら、薄力粉を入れて絡ませる。
3.アサリを入れて白ワインを入れて混ぜて一呼吸置いたら、お湯を注ぐ。沸騰したら蓋をして弱火で12分。
4.蓋を取って牛乳を注ぎ、全体を静かに混ぜる。温まったら塩胡椒で味を整える。(アサリやベーコンに塩気があるので、塩は少しずつ味を見ながら入れること)
5.イタリアンパセリを散らして、完成!

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

映画『ネブラスカ』は、100万ドルの宝くじが当たったと信じ込む年老いた父親と、その家族の話。賞金を手に入れるために、モンタナから遠く離れたネブラスカまで長い旅に出ることになる。
アレクサンダー・ペイン監督の作品は、いつも派手さは無いのだけど、どの映画も驚くほど丁寧に人間の性格や感情を描いている。
今回、年老いた父親役のブルース・ダーンが圧倒的な演技を見せてくれている。意固地で耳も遠くなり、都合の悪いことは聞こえないふりをしているのか、本当に聞こえないのかわからない。
家族は、ネブラスカへ向かう途中に昔の故郷に立ち寄ることになる。そこで様々な親戚や幼なじみにもう一度出会い、このお父さんとお母さんがどんな人物でどのような人生を送って来たのか、子どもたちも知ることとなる…。
映画を観ているうちに、これは、特別なウディ・グラントファミリーの話ではなくて、まるで僕の父親や母親の話でもあるように思えてくるから不思議だ。
今は亡き、父親のろくでもなさを思い出しながら、父へのさまざまな感情がこみ上げて来て、白黒の画面を深く見入ってしまった。
主役のブルース・ダーンはじめ、奥さんのジューン・スキップも、素晴らしい演技を魅せてくれる。作品賞、監督賞はじめ、主演男優賞、助演女優賞など6部門にノミネート。
★ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅 http://nebraska-movie.jp/