変わってゆくふたり。

Kは病院で働いているため、昼間はお昼休みだけなのだけど、おはようから、ただいま、おやすみなさいを毎日言い合っている。
東京と大分という長距離でつきあうためには、一緒にいられない時間もお互いをたいせつに思うコミュニケーションをしなくては、なかなか続かないだろうと思う。かといって、スカイプのようなものはなんだか恥ずかしくて、今はLINEで十分のような気がしている。
Kは毎朝、自分で炊いて冷凍にしたご飯を病院に持って行き、ランチにはお惣菜だけを買って一緒に食べている。僕がはじめて行った時のKの部屋は、調味料はほとんどなく、冷蔵庫もほぼ空っぽだったし、お皿はプラスチックだし、ご飯以外炊いている様子は見えなかった。
僕とつきあいだして1年5ヶ月が過ぎたのだけど、その間に僕は、出汁の取り方、みそ汁の作り方、うどんの作り方、カレーうどんの作り方、パスタの作り方、煮浸しの作り方、茹で鳥の作り方・・・様々な料理を教えて来た。
時には計量器や計量スプーンを買ったり、お鍋やお皿を無理矢理送りつけたり・・・。
一昨日は、写真が送られて来て、教えた通りのタンドリーチキンを作って焼いてあった。昨日は、出汁の澄んだうどん。どちらも大食いのKらしく、お肉がてんこ盛りだったので笑ってしまったのだけど・・・。
はじめは料理に興味のなかったKも、今ではかなりの頻度で料理をするようになっているのが、僕にはとてもうれしい。料理を作るたびに、僕に喜んでもらいたくて写真を送ってくるようだ。
誰かとつきあうことで、人は変わってゆく。自分だけの世界ではなくて、緩やかに相手の世界が浸食してきて混じり合い、努力をしながら別の世界を受け入れてゆく。
自分を変えることは面倒くさいし、少し怖いと思う時があるけど、自分が変わってゆくことは、なかなか楽しいものだと今は思うことが出来る。
昔は恐かったと言われている僕も、Kとつきあいだして丸くなり、ずいぶん変わってきたようだ。
(ほんとかな?)
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