大統領の執事の涙

『プレシャス』の監督リー・ダニエルズの新作『大統領の執事の涙』は、歴代の7人の大統領に仕えた黒人の執事の話。
アメリカの暗部と言われている黒人の200年以上に渡る奴隷制を題材に、白人社会に仕える執事の父親と、黒人の人権を勝ち得るために戦う息子の人生が対比されて描かれる様は見事だ。
アメリカで最も人気がある女性オプラ・ウインフリーも奥さん役がはまっているし、なにげにレニー・クラヴィッツやマライアキャリーもまた出ている。
映画自体は、時代を追ってきちんと丁寧に説明しようするあまり若干凡庸でドラマチックな作りになってしまったようだ。それでも、アメリカの歴史を時代ごとに想像しながら、黒人たちが時代の中で格闘しながら勝ち取って来た人権の歴史をホワイトハウスの中から知ることができる。
この手の映画を観ていていると、アメリカで人間を動物のように隔離したり、酷い暴力をふるったりしていた時代は、たかだか50年くらい前の出来事なのだということを知って愕然とする。
我々も未だ、基本的人権を勝ち得るための道の途中にいるに違いない。
★大統領の執事の涙http://butler-tears.asmik-ace.co.jp

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