ハンナ・アーレント

岩波でやっていたのは知っていたけど、ナチスとユダヤがらみのもので、なんだか面倒くさそう…
などと思いながら観ずにいた映画だけど、キネ旬でベスト3に入っていたので観に行ってみた。
ハンナ・アーレントは、第2次世界大戦中にナチスの強制収容所から脱出し、アメリカへ亡命したドイツ系ユダヤ人であり、高名な哲学者。
何百万というユダヤ人を収容所へ移送したナチスのアドルフ・アイヒマンの歴史的裁判に立ち会い、ニューヨーカー誌にレポートを発表するが、世界中から非難の的になる。
これは、哲学の話だ。
ナチスの話になると、誰もが感情的にならざるをえなくて、この裁判さえも、公平な状態で裁かれることは不可能だったと思われる。
ハンナは、最初から最後まで、自分の信じる哲学の話をしている。
世界には、根源的な悪と、凡庸な悪があるということ。
自分はユダヤ人で強制収容所に入れられた経験もあるハンナが、多くのユダヤ人たちの非難に晒されながらも、自分の信じるものを主張し続ける姿は孤高であり、強く胸を打つ。
この未曾有の恐ろしい事件を、感情に溺れることなく冷静に分析し、人間の犯す過ちのうちで最も救い難い『凡庸な悪』と名づけた彼女の強さに驚愕した。
★ハンナ・アーレントhttp://www.cetera.co.jp/h_arendt/

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