母の身終い

最近、老いを描いた映画が沢山ある中で、またフランスから素晴らしい映画が届いた。
老いて腫瘍におかされた母親と、18ヶ月という刑期を終えて出所したばかりの息子の話『母の身終い』。
『尊厳死』という難しい問題を取り上げているけど、これから超高齢化してゆく日本では、もっと真剣に議論されるべき問題だと思う。
最初から最後まで抑えた演技で話が進むこの映画を観ると、フランス映画の底力を感じずにはいられない。
自分の終焉を意識して、そこから逃げずに、穏やかに受け入れようとする母親の姿に圧倒される。
息子の不甲斐なさに呆れながらも、人生の難しさを思いながら、話の展開を固唾を飲んで見守った。
これだけ地味な映画なのに、じっくりと惹きつけられるのは、役者たちの卓越した演技の成せる技に違いない。
そして、老いや癌や死など、誰もが出来れば遠ざけておきたいと思う現実を、逃げることなく真っ向から捉えた監督の勇気の成せる技だろう。
★母の身終いhttp://www.hahanomijimai.com/

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