ブランカニエベス

今年初の映画は、『ブランカニエベス』。タイトルは、スペイン語で白雪姫だそうだ。
白黒のサイレント映画と聞くと、二の足を踏む人もいるかもしれないけど、久しぶりに物語に引き込まれ、甘く陶酔する時間を味わうことが出来た。
白黒のサイレントと言うと、一昨年のアカデミー作品賞を受賞したフランス映画『アーティスト』を思い浮かべる人がいるし比較されているようだけど、僕はこの、『ブランカニエベス』は『アーティスト』と比べるべくもなく圧倒的に素晴らしい作品だと思う。
『アーティスト』は、物語の先がどんどん読めるため僕はまったく楽しむことが出来なかったのだけど、この映画の何がすごいのかというと、言葉に頼ることなく物語に引き込まれ、映像と音のみで完全に理解出来るように作られているところだろう。
色彩に頼らない白黒の画面は、アンダルシア地方の焼け付くような陽射しと漆黒の闇も、登場人物たちの底意地の悪さも、まぶしいばかりの笑顔や美しさも完璧に映し出している。また、この映画で重要な要素となっているものの一つは音楽だ。美しい映像のストーリーに寄り沿うかのように、完璧な音楽が脇を固めている。
グリム童話が元になっている白雪姫はディズニーによって世界に広められ、物語のあらすじは誰もが知るところだろう。それでいて、大人になってさえ何度観ても物語に引き込まれ、胸を揺さぶられるのはどうしてだろうか?
もしこの物語に人を惹き付けてやまない普遍性があるとすると、『世界(人間)には常に善と悪がともにある』ということなのかもしれない。我々はその不可解さや理不尽さを、自分たちの人生の中で本当はわかっているのだと思う。それにしても、あの善的なものを応援しようとする気持ちは、どこから湧いてくるのだろうか…。
「いつまでも、この白黒映画の物語の中にいたい・・・」と、久しぶりに思った幸福な104分だった。
★ブランカニエベスhttp://blancanieves-espacesarou.com/

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