初めて好きになった人。

10代のある日、稲妻が落ちたようにMを好きになった。Mは僕より5歳年上で、物静かで、瞳の奥にどこか寂しさをたたえた人。
恋人のいるMとの関係は、ジェットコースターのような毎日であり、時々胸は膨らんでも、急に突き落とされ傷つくことを繰り返していた。
そんなMとの関係も、Mの大阪転勤であっさりと幕は降りたのだけど、その後、偶然町で会ったのをきっかけに、東京や大阪にどちらかが来る時には時々会って一緒に飲んだりしていた。
今回、僕の出張が数日あったため、久しぶりにMに会うことが出来た。居酒屋で乾杯をして、若かった頃の話や、今のお互いの仕事の話、親の話など、どんなことでも話が出来る。
Mは、極度のホモフォビアを抱えて生きてきた。
『ゲイである自分は、絶対に幸せにはなれない』と言い、周りを気にして、いつか結婚したいといつも言っていた。
今でも社内ではゲイを隠しているけど、会社では家族連れのイベントなどもあり、やりにくいことが沢山ある。出世に関しても結婚していないことが不利に働く環境だと言う。
Mのようなゲイが、もしかしたら日本のゲイの典型的な姿なのかもしれない。
人によっては結婚していて、男が好きでありながら、それを公には出来ずにひた隠しにしながら顔では笑って生きている。
10年後や20年後、ゲイやセクシャルマイノリティにとって、日本はもっと生きやすい国になっているだろうか?
その頃Mが、ゲイであったけど、幸せな人生だったと思っていたらいいなぁ。
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