ぺんぺん草。

僕の行く新宿2丁目のお店は、
『Bridge』と、『Tack’s Knot』と、『ぺんぺん草』。
今は他の店に行くことはまず無いし、
これからこの3軒のような、
僕にとっての『ホームバー』になるような店が現れるとは思えない。
『ぺんぺん草』は、僕が10代の時から通い詰めているお店。
強烈な個性のマスター『ひろしさん』がやっていて、
アクの強いお客さんが多く、演劇好き、映画好きのお客さんが集まる。
女性は許された者以外は入ることは出来ず、
黒柳徹子さんが来たのに、30分くらい誰も席を譲らずに、
無視して話し続けていた話は有名だ。
自分がどんなに疲れていたり、たとえ弱っていても、
『ぺんぺん草』のひろしさんなら、僕は会えるような気がする。
ひろしさんの魅力を、敢えてなんなのかと考えてみると、
『自分をさらけ出して、居直っているところ』と、
『どんな人にも平等に接するところ』だろうか。
そして、その昔、ゲイのサウナで唄っていたベット・ミドラーに通じる、
『底辺を味わったことのある人間の持つ魅力』だろう。
芸能人であろうと、一文無しであろうと、たぶんひろしさんの態度は変わらない。
2丁目には、芸能人がよく来るようなお店があるけど、
芸能人が来ると、マスターの態度が変わるような店には、
僕はもう、この先も行くことは無いと思う。
このお店には、お出入り禁止になる条件が確か3つあって、
1.別れた男のセックスの話をする人
2.別れた男のお金の話をする人
3.年上なのに年下にリツる人(リツるとは、お金を払わせるような行為)
今は2週間に1回くらい顔を出すか出さないかだけど、
久しぶりに顔を出すと、Pさんが来た。
Pさんは、なんでも思ったことをハッキリ言うし、
どちらかと言うと毒舌だけど実はとても繊細でやさしい人。
引っ越した家の排水が詰まって大変だとか、
女優の誰々は、ほんとうに嫌な女とか・・・笑
ひとしきりひろしさんとやりあって、満足そうに帰って行った。
僕と同じようにPさんも、ひろしさんに会って、言い合って、時には罵られ、
それでも、帰る頃にはちょっと元気になって家路に着くんだと思う。
この世界に、こんなかけがえのないお店があることに感謝している。
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