カルテット! 人生のオペラハウス

大好きな、マギー・スミスが出ていると言うので、『カルテット!』を観に行った。名優ダスティン・ホフマンが、はじめて監督およびプロデュースをした今作は、期待を上回る出来だった。
人生の晩秋を迎えた音楽家たちが、集まって暮らす老人ホーム。その老人ホームの存続のために、もう一度かつての大スターたちが、ジュゼッペ・ヴェルディ作リゴレットのカルテットを歌うという話。
ヴェルディと言えば、老人の音楽家たちのために私財をつぎ込んで『憩いの家』というものをミラノ郊外に建てたことで知られているが、この映画も、『憩いの家』が元になっているのだろう。
イギリスののどかな田舎の田園風景に、老人たちの暮らしが微笑ましい。マギー・スミスは、昔は大スターだったというだけあって、ビッチな役柄で、まるで年老いたゲイそのものだった。
全編を通じて、音楽が中心に構成されている。ソプラノのデイム・ギネス・ジョーンズを始め、本物の音楽家が多数出演、椿姫の『BRINDISI』や、トスカの『vissi d’arte』、リゴレットのカルテットなど、大好きな曲のオンパレード。
人生には、過去の出来事に対する感情をなかったもののように封じ込めることで、なんとか今の人生を送って来れたようなことがある。
過去の負の感情と折り合いをつけることは、人間にとって、とても難しいことだ。でも、もし、「人を赦す」ということが出来たら、世界はまた違ってくるのかもしれない。
ダスティン・ホフマンは、単なる老人映画を作ったのではなく、今回この映画で、人間が抱えて生きる感情や誇りを丁寧に描き出している。
★カルテット!人生のオペラハウス http://quartet.gaga.ne.jp/

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