ある海辺の詩人 -小さなベニスで-

久しぶりに、このまま何時間でも、この映画を見ていたいと思った映画を観た。『ある海辺の詩人 -小さなベニスで-』は、今年、僕が観た映画の中で、最も好きな映画の一つにあげられる。
ヴェネツィアの外れの、小さな港町のオステリア。そこへ中国人の女性が出稼ぎにやって来る。片言の言葉しか通じ合わないけれども、イタリア人たちと触れ合う内に、彼女と彼らの毎日が色づき、膨らみ始める。
アカデミー賞のような映画は、実は、アメリカにおける一つの物差しでしかないということを改めて思い知らせてくれる映画だ。
世界には、多様な映画の表現があり、イタリアには、これほどまでに繊細で美しい映画をつくる文化があるということを、我々に知らせてくれる。
カメラワークが恐ろしいくらい完璧だ。どこのシーンも詩のように感じられる。
過剰でない音楽もいい。そして、世界で最も美しい言語の一つと言われる、イタリア語と中国語の響きが混じり合うところも美しい。
役者たちも素晴らしい。まるであのオステリアが、今もあの町キオッジァにあるように思える。
この映画は、何か、美しいものを観る者に遺してくれる。それは、まさしくこの映画が、詩そのものだからだろう。
★ある海辺の詩人 -小さなベニスで-
http://www.alcine-terran.com/umibenoshijin/

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