言われなかった言葉。

春の嵐の中、台湾人の27歳の友人Mががこの世を去った。夜中に台湾人の別の友人から、LINEでMの訃報が送られて来たのだけど、心不全だと書いてあっても、それが持病なのか、事故的なものなのか分からなかったし、あまりの若さに、ただただ信じられなくて、そのまま眠れずに彼のことを考えていた。
Mはとても繊細で優しいやつなのに、日本語学科を出たMの下手な日本語を僕がからかったり、わざと日本語で言わせたりしてふざけ合ったことを思い出した。困った時の彼の垂れ下がる眉毛と、純粋な瞳が可愛かった。
ある時、FacebookでMが婚約したことを知った。相手は男性で、ふたりでFacebook上でお互いのことをカミングアウトしていた。相手の人には、会ったことなかったけど、若さもあるけど、ふたりは随分進んでいるなあと思ったのを覚えている。
明け方まで眠れずに途方に暮れた僕は、Mに言い遺した言葉をLINEでMに送った。
Mのことが大好きだったということ。居なくなってしまって、寂しくて仕方がないということ…WhatsAppでも同じように送ってみた。
数分後に、LINEを見ると、誰かが僕の英語のメッセージを見た形跡が残っていた、WhatsAppも同じように、何者かが確実に僕のメッセージを見ているのがわかった。
iPhoneのパスワードまで知っているとしたら、お母さんというよりも、きっと恋人だろうなあと思った。そして、こんな明け方に、喪った恋人のiPhoneを見ている彼のことを想像した…
僕だって、この先、いつこの世界からいなくなるか、分からない。今日かもしれないし、明日かもしれない。
人間は、確実に死ぬということを知ったのは、父が亡くなった時だ。
死は、遠い未来ではなく、僕たちの生の中に、確実に存在していて、その時がくれば、まるで眠りに落ちるようにこの世界から意識は無くなり、心臓は動かなくなり、血液も流れなくなるのだ。
出来るだけ周りの人たちに、気持ちを言葉に出して伝えておこう。
抱きしめたい時は、しっかりと抱きしめよう。
愛しているという言葉を、言われなかった言葉にしないように。
酔っ払って、僕が若い子に抱きついていたら、愛しているということを全身で表現していると思ってくださいね。笑
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