空を迎えるにあたり、一番危惧してしていたことは海と太陽との相性だった。
海はやさしい性格だけど、家に自分以外の犬がくることを受け入れてくれるだろうか?
今まで家の中でたった一人で思う存分愛情を浴びてきた海は、自分以外の対象にその愛情が向かってしまうことを感じ取るに違いないと思ったから。
はじめは海は空のことを無視するような感じで、近づいてきてもささーっと一人で遠くに行ってしまって相手にしない感じだった。
僕たちはそんな姿を見つつも放っておいたのだけど、ここ数日でその態度が変わってきた。
激しく後を追い回し海に飛びつく空を、海は親のように首根っこを掴んだり頭を丸呑みして甘噛みしたり、親が子犬にするように色々と教えるようになっていったのだ。
今はもう無視して逃げ回ると言うことはなく、どちらかというと追っかけっこをして一緒に遊ぶようになった。
「犬同志のことは犬同士に任せておきなさい」ブリーダーさんの教えはその通りだったみたい。
人間がコントロールできることではなかったのだ。
空と海はいい感じの関係を築いていけそうでホッとしているところ。