僕の身に何かあった時に、パートナーであるKが判断できるように、僕が先に亡くなった時にKに遺産がいくようにするために僕たちは公正証書を作成することにしたことはここに書いた。
公正証書には2人の証人が必要になるのだけど、宮古島に知り合いがいない僕たちは島内で2人の証人を探すことが出来ずどうしたものかと考えていた。
行政書士が言うには、普通は公証役場の方で証人を立ててくれるらしいのだけど、宮古島に限っては証人はご自身で探してくださいと言われていたのだ。
証人は身分証明書を法務局に提出したりしなければならず、公正証書がなぜ必要なのかなどもせつめいしなければ承諾は難しい。
そこで以前お世話になった司法書士のお爺さんに電話をしたところ、「私でよければやりますよ」とのことだったので喜んでいたところ、書類を持ってパートナーを連れて来てくださいと言われて会いに行ってきた。
すると、お爺さんはどうやら証人になることがとても重要な役割だと思ってしまったようで尻込みしはじめた。
司法書士でありながら、公正証書の証人がどんなものなのかわかっていないようで、「これは大変なことで何かあったら私の財産もどうなるかわからない」などと言い出したのだ。
おまけに「この人の身分証明書を見せなさい」などとKの身分証明書を見せるように要求したので、僕はそこで怒りが頂点に達した。
「それならもうあなたにはお願いしないからいいです。書類を返してください」
行政書士に送ってもらった書類を返してもらい、Kの身分証明書をつかみ、Kとふたり事務所を後にした。
Kに酷く嫌な思いをさせてしまってとても悲しかった。
僕たちはこんな風にずっと差別され続けて来たのだ。
結婚することが出来れば黙っていても手に入れられる権利を、こんな酷い目に遭ってまで公正証書という書類を作って高額な金額を払わなければ手に入れられない現実に悔しさと怒りが込み上げて来た。
何があろうとも、Kのことは僕が守るのだ。と、強く思った一日だった。