小さな頃は気付いていなかったのかも知れないけど、1歳を過ぎてより警戒心が強くなってきたのか、海が外の大きな音に反応することが多くなった。
僕たちの暮らす熱海は花火大会があって、昨年はコロナの影響で花火大会自体が限られていたためかあまり海も反応していなかったのだけど、今年は土砂災害のニュースが落ち着いた後に花火大会がかなり頻繁に行われるようになった。
僕たちの家は熱海の海からはかなり離れているのだけど、それでも花火が上がる夜はその大きな音でわかるものだ。
海はこの花火の巨大な音が苦手のようで、鳴くことはないものの尻尾は下にうな垂れて、全身で小刻みに震えているのがわかる。
今日も8時過ぎに花火が始まるのがわかっていたので、早めに寝室に行き、ベッドの上で海をさすりながら花火が始まるのを待った。
やがて花火が始めると、大きな音が響き渡った。海は驚いて物凄い寒いように全身で震え出した。
僕たちは「大丈夫だよ。海。一緒にここにいるから大丈夫」と言いながら、震え続ける海を二人で挟んでしっかりと海の身体を抱きしめた。
花火の音の鳴る中3人でベッドで抱き合いながら、なんて幸せなんだろうと思ったのだった。