僕がまだ10代や20代で、ニューヨークにもしょっちゅう旅行をしていた頃、街にはたくさんのホームレスが溢れかえっていた。
地下鉄に乗っていると紙コップを持って小銭をもらえないかと言って来たり、街中でもホームレスがいたるところにいて座り込んでいたり、メッセージの書かれたボードを持っていたりした。
東京の街中にもホームレスはいて、渋谷の宮下公園や代々木公園なんかにはたくさん暮らしていたし、隅田川沿いにもブルーのビニールシートでできたテントが並んでいるのが当たり前の光景だった。
僕はその頃、「なんで働かないんだろう?」と思っていた。
でも今考えるとその頃の僕は、人々の表層的な部分しか見えていなかったのだ。
今、年を重ねて思うことは、人生には突然予期せぬ荒波が押し寄せたり、結婚生活が破綻したり、大切な家族をある日失ったり、突然仕事を解雇されたり、女手一つで子どもを育てなければならなくなったり、人にはそれぞれ様々な出来事や事情があるということ。
どんな状況にいる人でも、それぞれの人生がある中で生きているということ。
自分の物差しだけで決めつけることではなく、自分とは違う人たちのそれぞれの人生を想像し、敬うことがとても大切なのだと思う。
生活保護受給者も、ホームレスも、皆我々と等しく尊い生命である。生活保護を受ける権利があるし、ホームレスも守られる権利がある。
お金があろうがあるまいが、税金をいくら納めていようがいまいが、そんなものは関係なく皆等しく大切な生命なのだ。