引越しの荷解きも、荷造りと同様、結局ほとんどKがやってくれた。
僕はテーブルで仕事をしながら、時々Kが何をやっているか確かめる。
朝、外に出ていくKを見ていたら、階段の下に降りて箒で落ち葉を拾い集めていた。
少ししたら斜め向かいの家のおじさんと世間話をしているのが聞こえた。
「落ち葉を拾うのは大変ですねー」
僕たちは、右隣とその隣、そして右斜め向かいのご近所には挨拶に行った。
僕たちの関係を聞いてくる人はいなくて、「若い人が来てくれてうれしいわ」というような言葉が聞けた。
もしかしたらご近所さんは、僕たち男二人で住んでいることを訝しがっているのかもしれないけど、今のところそんなムードは漂ってこない。
ここが山の中で、空き家も多いので他の家のことなど詮索しないからかもしれない。
田舎に住むと、人間関係が煩わしいなどと移住の本などに書いてあるが、今のところ幸いゲイカップルを詮索する人たちもいなくてホッとしている。