ずいぶん前に、母から電話があった。
母「あなた、マスクを作ったから、いる?
Kくんの分もあるのよ・・・
お母さん、集中しすぎて手が痛くなったわ」
僕「ああ・・・まだマスクあるから大丈夫だよ。
またなくなったらもらおうかな」
母「あら、そう?お兄ちゃんもおんなじこと言ってたわ。
あなたたち、手作りのマスクなんてつけないのかしら?
わかったわ」
母の声はどこか寂しそうで、そんな話を帰ってきたKにすると、
K「お母さん、かわいそう!
すぐに電話かけてもらってあげて!
でも、郵便局とか行くと危険かな・・・?」
翌朝母に電話をかけて、「せっかく作ってくれたのだから、ありがたくいただくよ。Kが喜んでいたよ」
と伝えると、兄のお嫁さんも同じ反応をして結局兄の家にも送ることにしたそうだ。結局奥さんの考えることは一緒ということか。
そんな母の作ったマスクが、家に届いた。
マスクは純和風で、不恰好だけど、どこかからもらったマスクも一つ入れて、僕とKにとちょうど6枚用意してくれたみたい。
母の不器用なやさしさを、ありがたく感じた。