運び屋

88歳になる偉大な映画監督であり役者でもあるクリント・イーストウッドが、久しぶりに自ら主演と監督をしたというので楽しみに観に行った。
クリント・イーストウッドというと、僕にとっては『グラン・トリノ』で見事な主演・監督だったことが思い出されるのだけど、今回の映画は、まさしく『グラン・トリノ』の、崇高なおじいさんではなく、まるっきり反対のロクでもないおじいさんだった。
映画がはじまって少しして、このおじいさんのやっていることを見ているうちに、僕は正直、「もう、このまま見ないで帰ろうかな・・・」と席を立ちたい衝動に駆られた。何度も何度も席を立とうかと迷いながら、Kの顔を見るとKは見入っていたので、もう少しもう少しだけ・・・と自分を騙しながらなんとか最後まで見ることができた。
映画を観終わって、「何がいやだったのだろう・・・」と自分なりに分析をすると、この主役の爺さんの生き様が、心の底から自分とは相入れないものだったのだ。それゆえに映画を見ていてもなんだか乗れなくて、先に行くに従って苦しくなるストーリー展開も予想できたので、見ていて気持ちのいい映画ではなかったのだ。
でも、結果としては、見てよかったと思う。88歳にもなってそれでもまだ映画で何かを表現しようとするイーストウッドの気概を感じたし、彼のメッセージを全力で探そうとしたから。
もしまだ、『グラン・トリノ』をご覧になっていなかったら、『運び屋』と合わせてご覧になるといいと思う。
⭐️運び屋http://wwws.warnerbros.co.jp/hakobiyamovie/

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