壊れた冷凍庫。(後篇)

冷凍庫が壊れて一番慌てたことは、「冷凍庫の中身をいったいどうしたらいいか?」ということ。食材を捨てることほど、罪悪感を感じることはないではないか。
前にここにも上げたことがあるのだけど、僕はいつも、iPhoneの『メモ』の中に、冷凍庫の中身を引き出しごとに記録してあるのだけど、およそ90リットル分の冷凍庫に入った食材を、この蒸し暑い梅雨の時期にいったいどうしろというのか?
考えている時間はなく、冷凍庫の中の温度は下がり続け、とうとうマイナス10度に近づいて来た(マイナス8度で雑菌が広がってくる)。僕とKは意を決して、冷蔵庫の中身を整理して捨てるものは捨てて、冷凍庫の中身をチェックしながら冷蔵庫に一旦移しはじめた。
干物などは塩っけがあるので数日は大丈夫だろうし、肉類の真空パックは多少冷蔵庫の中で持ちこたえられるだろう。足が早いと思われるものは、味付けも加熱もしていない生の肉類だった。
右ポケットに牛肉やラムなどを詰め込み、左は野菜類、上の段に魚関係のもの、この際だから、「いつか食べよう・・・」くらいに思って取っておいたものはすべて捨てた。
ついでに調味料も古いものはどんどん整理して、なんとか冷蔵庫の中に奇跡的にすべての食材を入れることができた。ありがたかったのは、ワインクーラーがあったので、そちらにお米などは移すことができた。
僕「この肉類を早めに調理しないとね・・・」
K「しばらく何にも買わなくても、全然困らないくらいいっぱいあるね」
そして翌日、早めに帰って来てから一気に料理をしたのだ。鶏肉は下味をつけて焼いて、沢山あったきのこ類は、ニンニクと鷹の爪で炒めて塩味をつけて、牛肉は残っていた新玉ねぎとお出汁で煮て・・・自分でも驚くほど次から次へと思いつくままに調理が進み、痛みそうなものはだいたい火を入れることが出来た。
今までは考えたこともなかったけど、『冷凍庫が突然壊れる』ということも、人生には起こり得るのだ。
絶体絶命のピンチとも思われた出来事が起こった時にも、「この出来事が何か僕に伝えたいことがあるのだろうな・・・」と思うようにしている。
それは、冷蔵庫や冷凍庫を過信して、必要以上に食材を溜め込まないことかもしれない。
これからは、もっときちんと計画して、食品のストックも最小限のものにしようと考え直すきっかけになったように思う。

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