やすらぎの郷

新宿2丁目のぺんぺん草のひろしさんが、「あんた、やすらぎの郷って知ってる?」と、随分前に僕たちに聞くのだ。
その時は誰もそんな名前知らなくて、「どこかの老人ホームの名前でしょ」と僕が答えただけだった。
話を聞くと、どうやらそれはテレ朝のドラマの名前らしく、倉本聰が久しぶりに脚本を書き下ろしているという。
「とにかく、びっくりするくらい豪華な女優さん俳優さんだから、見てみなさい!」
そんな話を聞いていたのを覚えていて、第1話から見始めたのがもうだいぶ前だろうか。石坂浩二、八千草薫、浅丘ルリ子、五月みどり、野際陽子・・・なんなの?この豪華メンバーは・・・
それ以来Kとふたりで、夜にごはんを食べた後に観るのがひとつの習慣になってしまって、1日に20分しか放映されていないからすぐに追いつくことはできたのだけど、見ているうちに倉本聰の術中にはまってしまったようで、今では僕たち二人の毎日の愉しみになってしまった。
老人を扱った映画がここ10年くらいどんどん増えはじめて来ていたけど、テレビでこれほど豪華メンバーで老人を主人公にして話を進めるなんて、時代を見事に映し出していると言えるだろう。
僕たちふたりは、この『やすらぎの郷』を観ながら、この豪華な女優たちの中で、誰がいったい演技がうまいか、誰がへたくそなのかと話をしたりしている。
なにをやってもいつも同じでその人でしかない人は、間違いなく演技の下手な人だろう。でも、このドラマでは、ほとんどの人がそれぞれのキャラクターに合った役柄で出ているので、ちょっと観ているだけでは演技がうまいのか、誰が正真正銘の大根役者なのかがわからないのだ。
仕事が終わって、Kとふたりソファで、『やすらぎの郷』を観ている時が、今の僕たちのやすらぎの時間なのだ。

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