小さな頃から、家で食べていたもの。

Kとご飯を食べる時に、実家での食事の話をよくする。
「お味噌汁の具は何が多かったの?」とか、
「お母さんは何が得意料理だったの?」とか、
そんな話をしながら、僕は自分の家の料理を思い出しながら話をするのだ。東京と大分という距離もあるけど、各家庭の料理はそれぞれみな違っている。
たとえば味噌汁の具材にしたって、僕の家では「わかめと豆腐」が多かったし、「春菊と油揚げ」なんかもしょっちゅうあった(これは珍しいみたい)、
Kの家では、「じゃがいもとタマネギ」であったり、「大根と油揚げ」だったりするようだ。それに、細かく言うと、出汁や味噌や醤油の味も僕とは違っている。味噌は薄味に溶いていたり、九州の醤油は、全体的に甘いものが多いようだ。みそ汁や家庭の料理に正解などはなく、そんな各家庭ごとの違いを、僕はとても楽しいと思う。
時々、Kが昔食べていたという「タマネギとジャガイモのみそ汁」や、「大根と油揚げのみそ汁」を作ってみる。
そして食事をしながら、そっとKの顔をのぞく。Kが黙ってみそ汁を続けて何度も食べたら、気に入っているという証拠。
お母さんの味には近づけないかもしれないけど、小さな頃から家で食べていたものを食べる時に、人は、やっぱりとても幸福そうに見えるものだ。
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