人間の値打ち

イタリアのアカデミー賞と言われる『ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞を7部門受賞したという映画『人間の値打ち』が、ル・シネマではじまった。
貴族で大金持ちの一家と、中流家庭の一家、金持ちの息子と中流階の娘が高校で恋愛関係にあり、2つの家族には接点がある。
金持ちの主人は、金融でお金を儲けることしか頭になく、奥さんは暇を持て余し、自分の存在意義さえ見つけられずにいる。
中流家庭の旦那さんは、地味な不動産の仕事ではなく、株で一発儲けたいと目論んでいる。
中流の娘は、新しい恋愛が始まり、金持ちの息子との恋愛を終わらせたいと思っている。
そんなある夜、金持ちの家のそばで、人命に関わる交通事故が起きる。その交通事故を巡って、登場人物たちの視点で、同じ時間が何度も描き出される。
中流の旦那が体験している現実。
金持ちの奥さんが体験している現実。
中流の娘が体験している現実。
目の前で起こっている出来事は、その人の立場や捉え方によって、こうも違うものなのかということが、見事な演出によって浮かび上がる。
上質なサスペンスを見ているうちに目が離せなくなり、最後に『人間の値打ち』というタイトルの意味が明かされる。
見事な俳優たちの演技、先を読ませない脚本、息をつかせぬ演出。イタリア映画界のレベルがハッキリとわかる一本。
★人間の値打ちhttp://neuchi-movie.com/

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