イルカに会いに、天草へ。

小さな頃から夢見ていたことは、いつかクジラを見にいくことだった。
未だクジラは見ることは出来ないのだけど、天草では野生のイルカを見ることが出来るというので、今回、天草へ来たのだ。
天草は、小さな島が沢山あり、暖かな対馬海流の影響を受け亜熱帯。美しく穏やかな海は、起伏に富んだ海底があり、豊かな生態系を築き上げている。
そしてこの天草には、およそ200頭ものミナミハンドウイルカがいくつかの群れをなして生息している。
予約していた受付に行くと、初日は天気が良いのに海が少し荒れていて白波が立っていた。受付の人曰く、
「もし、こちらにお泊まりなら、明日の方が海が穏やかなので、明日いらした方がいいかもしれません。海が荒れていると、船酔いしてイルカどころではなくなってしまうので…」と言う。
小さな頃から車に酔いやすい僕は、「それじゃあ、明日の朝にします。イルカを見に来たのであって、撒き餌を撒きにきたわけではありませんから…」
翌日、海は凪ぎ、空はどこまでも青かった。
静かな海に出るとすぐに、遠くにイルカの群れが見え隠れし始めた。
船は、あっという間にイルカの群れに近づき、イルカたちは僕たちが来ても気ままに泳いでいる。
しばらくすると、イルカは示し合わせたように水面から消えていなくなり静かになった。
船は、留まり、辺りをみんなで暫く見回していると、ほんの少ししたあとに、また少し遠くでイルカは水面に飛び出して来た。
船はイルカに向かってまた一気に近づいてゆく。
思わず船の真横にイルカが顔を出すこともある。イルカは人間を恐れているというよりは、人間と一緒に泳ぎながら遊んでいるといった感じなのだ。
イルカと人間のやり取りを見ていると、かくれんぼをしているように思えてくる。
歓声をあげながらイルカと戯れ、はじめてイルカをかわいいと思った。
イルカから見たらきっと、
世界には海が果てしなくあって、遠くにほんの少し陸地があって、そこに人間という動物が暮らしているだけなのだろう。
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