小さな動物たち。

学生の頃、表参道の同潤会アパートの一室に、『Farmers Table』という雑貨屋さんがあった。木で出来た器や素朴なガラスやアルミなどの素晴らしいセレクトのお店で、時々覗くのが楽しみだった。
お店はその後、通りを挟んだキャットストリートの中に移転して、またその後恵比寿に移転してしまったのだけど、恵比寿になってからは、アウェーなので行くことはなくなってしまった。
そこで見つけた小さな動物たちは、木で出来ていて素朴で温かみがある。その小さな動物たちを、僕はいつも窓辺に一列に並べて飾っていた。(あと一羽、ひよこがいたのだけど、この家に引っ越して来てから行方不明になっている)
ある日、前の原宿の家に住んでいた時に、兄の子どもが当時4歳くらいだっただろうか、家に遊びに来て、この動物たちに目をつけて、ひとつ残らず持って帰ってしまったのだった。
子どもの手前、あげるよと言ったものの、実はとても惜しくて、それだけ僕は、この動物たちに愛着を感じていたのを、失ってしまってから気づいたのだった。
いつだったか、兄の家を訪れた際に、その甥っ子ももう中学生くらいになっていて、何気なくリビングを見たら、この動物たちが役目を終わったかのように、端の方に投げ捨てられているのを見つけ、「あ、これ、お兄ちゃんが持って帰るね!」と言って取り返してきたのだった。
それからまた、動物たちは窓辺の定位置に戻り、今も仲良く暮らしている。
時々僕は、この小さな動物たちを眺めては、穏やかな気持ちになるのだ。

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