ショート・ターム

昨年11月からやっていたのに、週末ずっと不在が続いたため見逃していた映画『ショート・ターム』をやっとシネマート六本木で観ることが出来た。僕にとっては今年2本目の映画。
一年間に100本以上の映画を劇場で観ているのだけど、その中でも時々「完璧だな…」と思う映画がほんの数本ある。この『ショート・ターム』も、そんな完璧な映画の一つだった。
『ショート・ターム』は、18歳までの問題児が預けられる施設のこと。その施設でのケアマネージャーとその同僚、そして子どもたちの姿を描いていく。
映画が始まるやいなや冒頭から、「なんか、凄いリアリティだな…」と引き込まれるのだけど、それは監督の透徹した演出だ。主役のブリー・ラーソンの演技に圧倒される。恋人役のジョン・ギャラガーJrという人、そして子どもたちも素晴らしい。
はじめは僕も、「なんだか問題児だらけで大変そうだな…」くらいに思って眺めていたのだけど、子どもたち一人一人の姿をケアマネージャーの目を通して見ているうちに、繊細で今にも壊れそうな生きざまに目が離せなくなる。そして、やさしく強く賢い大人であるはずのケアマネージャーの内面にも、先が見えない真っ黒な暗闇が広がっているのがわかる…。
映画の置かれている状況は暗く重たく感じられるが、映画全体を貫いているテーマはこの上ない愛とやさしさだ。
傷ついた人は、その痛みを味わったことのある人や、その痛みを想像することのできる人によっていつしか癒され、救われてゆくのかもしれない。
人間の愛とやさしさを描いた、奇跡のような作品。
★ショート・タームhttp://shortterm12.jp/sp/

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