美女と野獣

今回フランスで実写化された『美女と野獣』は、ディズニーの製作したアニメの『美女と野獣』とは、ストーリーが異なっている。
もともと1740年にフランスのヴィルヌーヴ夫人により執筆された長編物語が、1754年にボーモン夫人が30ページほどの短編にして発表。それが世界で知れ渡るものになったようだ。
そして今回、フランスのクリストフ・ガンズによって脚本、監督された実写版の映画は、最初のヴィルヌーヴ夫人の物語を元に脚本化されたという。※お伽話はストーリーがすべてなので、ここでは敢えて触れない。
〈見どころ〉
ドイツの巨大なスタジオにセットを組んだという美術は、野獣の城の中の様々なものまで作り込んでいて豪華だ。
ベルの衣装が素晴らしい。場面ごとにはっきりとした色、隅々まで凝った細部、全く違うデザインで魅了させられる。
野獣のヴァンサン・カッセルは、特殊メイクではなくて、ホッケーのヘルメットみたいなものを着けてすべて撮影、その後トロントで同じシーンを顔の表情だけ撮影、そして一本ずつ植えつけられた野獣マスクと合成で重ねたそうだ。野獣の映像については意見が分かれるところだろう。(僕は、なんだか着ぐるみチックに感じられて、他の方法はなかっただろうか…と思った)
美女役のレア・セドゥは、『アデル、ブルーは熱い色』でバリバリのレズタチ役をやってパルムドールを取った個性派女優なのだけど、ベル(Belleは美しいという意味)には、もっと圧倒的な美女がよかったように思う。(レア・セドゥの演技は、本当に素晴らしかったのだが…)
〈僕の感想〉
何百年もの間人々に読み継がれ語り継がれて来たお伽話の中には、何かしら人の心を動かすテーマがあるに違いない。
『美女と野獣』の中で大切なことは、およそ愛し合うはずなどない全く姿形の違うふたりが、お互いを知ってゆく過程において、表層だけではなく心の奥の方でお互いに少しずつ惹かれ合ってゆくところなのではないだろうか。
今回のこの作品は、物語の中の他の要素に時間が多く割かれてしまったようで少し残念に感じた。
衣装と美術とファンタジー溢れる映像を劇場で観るためだけでも、1800円はとても安いと思える価値のある作品。
★美女と野獣http://beauty-beast.gaga.ne.jp/sp/index.html

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