かぼす。

愛おしいかたち

これで400円!

大分から帰ってくる時には、あれば必ず『かぼす』を買ってくる。
お土産として差し上げると、たいてい「なにこれ?」と言われるのだけど、「かぼすだよ」と伝えると、みな一様に黙って香りを嗅ぐ。かぼすの香りは、皮に凝縮されている。僕は、その姿を見て、この人が料理に使わなかったとしても、差し上げてよかったなあと思う。
四季に恵まれた日本料理には、『吸い口』という素晴らしい文化がある。『吸い口』とは、春には、タケノコや蕗に木の芽をあしらい、暑い夏には、揚げ浸しにショウガや茗荷を擂り下ろしてそえたり、秋には、松茸の土瓶蒸しにすだちを絞ったり、冬にはお吸い物にゆずを散らす。昔からこの国の人たちは、香りも一つの味のうちというように愉しんできたようだ。
東京の人にはあまりなじみのない『かぼす』だけど、レモンやゆずのように主張が強すぎずどんなものにも合うのと、爽やかな味わいをぜひ取り入れてみてもらいたいと思う。
『かぼす』の使い方
◎さんまの塩焼きにぎゅっ。
◎焼き野菜か揚げた野菜に、ぎゅっ。
◎豚肉を塩こしょうして、焼いてからぎゅっ。
◎鶏の唐揚げにぎゅっ。
◎小松菜やほうれん草を茹でて、大根おろしをかけて醤油をたらし、かぼすをぎゅっ。
◎いろいろなキノコを出汁で煮て、淡口醤油と酒かみりんで味を整えたら、かぼすを半分絞り、半分スライスにしてのせる。
◎鶏もも肉に薄口醤油と酒とかぼすを絞り、浸し、焼く。
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