鉄くず拾いの物語

ボスニアに暮らす貧しいロマの家族の実際にあった話を元に、実際の家族が演じている映画。
昨年の東京フィルメックス映画祭に来ていた映画だったのだけど、福岡に行っていて観ることが出来ずにいた。
いっさいの説明を省き、リアリティを感じさせる演出は見事だ。音楽で盛り上げたり、話をドラマチックに作っていない分、彼らの生活の慎ましさが伝わってくる。
貧しい彼らの生活を観ていると、雪の降る凍てつくような冬景色の中で、鉄くずを拾い、砕き、集める、彼らの手の感触が伝わってくるようだ。
お金がなければ、手術さえ受けられずに差別される暮らしに、彼らは文句を言うでもなく、天に唾を吐きかけるでもなく、現実を黙って受け入れ、じっと耐えながら、目の前にある彼らの出来ることを、ひとつひとつこなしてゆく。
その姿は、貧しくても慎ましく、美しい。
★鉄くず拾いの物語http://www.bitters.co.jp/tetsukuzu/

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